
特定行為研修って、どんな研修なんだろう。
働きながら受けられるのかな。
費用や期間も気になる。

厚生労働省の資料に、研修の中身・期間・費用の目安・修了者数までまとまっています。
この記事では、その一次資料だけを使って整理します。
🎯 この記事の結論
特定行為研修は、看護師が医師の手順書にもとづいて特定行為(38行為)を行うための研修です。
研修は、全員が学ぶ共通科目250時間と、区分ごとに学ぶ区分別科目に分かれています。
期間はおおむね5か月〜2年、受講料はおおむね30万〜250万円です。
講義と演習はeラーニングで受けられ、実習は勤務先で受けられる場合があります。
修了者は14,266名、指定研修機関は505機関です(令和8年3月現在)。
📋 この記事でわかること
- 特定行為研修の目的と、特定行為・手順書のしくみ
- 21区分38行為と、区分ごとの修了者数
- 共通科目250時間と区分別科目の中身
- eラーニングで受講できるか
- 期間・費用の目安と、使える支援制度
- 修了後にできること・できないこと

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行政書士・介護福祉士・社会福祉士の資格を持つサイト運営者です。
看護師の資格は持っていないので、体験談ではなく、厚生労働省の資料を正確に読み解くことに徹します。
📘 特定行為研修とは|手順書で診療の補助を行うための研修
特定行為研修は、2015年10月に始まった、看護師のための研修制度です。
診療の補助のうち、高度で専門的な知識と技能が特に必要な38の行為が「特定行為」として決められています。
看護師がこの特定行為を「手順書」にもとづいて行う場合は、特定行為研修を受けることが義務になっています。
手順書とは、医師や歯科医師があらかじめ作る指示書のことです。
研修を修了した看護師は、患者の状態が手順書の範囲内であれば、医師の判断を待たずに特定行為を行えます。
範囲外のときは、医師や歯科医師に意見を求めます。
| 手順書に書くこと(6項目) |
|---|
| ① 診療の補助を行わせる患者の病状の範囲 |
| ② 診療の補助の内容 |
| ③ 対象となる患者 |
| ④ 特定行為を行うときに確認すべき事項 |
| ⑤ 医師・歯科医師との連絡が必要になったときの連絡体制 |
| ⑥ 特定行為を行った後の報告の方法 |
出典:厚生労働省「特定行為に係る看護師の研修制度に関するQ&A」
研修の目的は、急性期医療から在宅医療までを支える看護師を、計画的に育てることです。
📝 よくある誤解
研修を修了していなくても、看護師はこれまでどおり、医師の指示のもとで特定行為に相当する診療の補助を行えます。
研修が必要になるのは、「手順書」にもとづいて行う場合です。
📊 21区分38行為と、区分ごとの修了者数
38の特定行為は、21の「特定行為区分」に分けられています。
研修は区分ごとに受けるしくみで、1区分から受講できます。

| 特定行為区分 | 修了者数 |
|---|---|
| 呼吸器(気道確保に係るもの)関連 | 4,483人 |
| 呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連 | 5,501人 |
| 呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連 | 3,923人 |
| 循環器関連 | 1,359人 |
| 心囊ドレーン管理関連 | 1,007人 |
| 胸腔ドレーン管理関連 | 1,488人 |
| 腹腔ドレーン管理関連 | 1,711人 |
| ろう孔管理関連 | 2,441人 |
| 栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連 | 3,288人 |
| 栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連 | 2,595人 |
| 創傷管理関連 | 4,479人 |
| 創部ドレーン管理関連 | 2,411人 |
| 動脈血液ガス分析関連 | 5,387人 |
| 透析管理関連 | 1,242人 |
| 栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 | 11,643人 |
| 感染に係る薬剤投与関連 | 3,071人 |
| 血糖コントロールに係る薬剤投与関連 | 3,091人 |
| 術後疼痛管理関連 | 3,130人 |
| 循環動態に係る薬剤投与関連 | 3,868人 |
| 精神及び神経症状に係る薬剤投与関連 | 2,837人 |
| 皮膚損傷に係る薬剤投与関連 | 1,058人 |
出典:厚生労働省「特定行為区分別の特定行為研修を修了した看護師数(令和8年3月現在)」
最も多いのは「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」で、11,643人です。
この区分には、脱水症状に対する輸液による補正などが含まれます。
1人が複数の区分を修了するため、区分別の合計は70,013人になります。
在宅医療で想定されている特定行為の例
- 気管カニューレの交換
- 胃ろうカテーテル・腸ろうカテーテル・胃ろうボタンの交換
- 末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入
- 褥瘡や慢性創傷の治療における、血流のない壊死組織の除去
- 脱水症状に対する輸液による補正
- 感染徴候がある人への薬剤の臨時の投与
- インスリンの投与量の調整
- 抗不安薬の臨時の投与
出典:厚生労働省「特定行為に係る看護師の研修制度に関するQ&A」
📚 研修の内容|共通科目250時間+区分別科目
特定行為研修は、全員が学ぶ「共通科目」と、区分ごとに学ぶ「区分別科目」に分かれています。
共通科目の時間数は、2019年4月の省令改正で現在の形になりました。
| 共通科目 | 時間数 |
|---|---|
| 臨床病態生理学(講義・演習) | 30時間 |
| 臨床推論(講義・演習・実習) | 45時間 |
| フィジカルアセスメント(講義・演習・実習) | 45時間 |
| 臨床薬理学(講義・演習) | 45時間 |
| 疾病・臨床病態概論(講義・演習) | 40時間 |
| 医療安全学、特定行為実践(講義・演習・実習) | 45時間 |
| 合計 | 250時間 |
区分別科目は、1区分あたり8〜34時間です。
たとえば、創傷管理関連は34時間、呼吸器(気道確保に係るもの)関連は9時間です。
区分別科目では、行為の難しさに応じて、5例または10例程度の症例の実習を行います。
領域別パッケージ研修|よく使う行為をまとめて学ぶ
現場で実施する頻度が高い特定行為を、領域ごとにまとめた「領域別パッケージ研修」もあります。
パッケージに含まれない一部の行為の研修が免除されるので、その分だけ研修期間が短くなります。
ただし、免除された特定行為は、研修を受けていないので行えません。
| 領域別パッケージ(6領域) |
|---|
| ① 在宅・慢性期領域 |
| ② 外科術後病棟管理領域 |
| ③ 術中麻酔管理領域 |
| ④ 救急領域 |
| ⑤ 外科基本領域 |
| ⑥ 集中治療領域 |
💻 特定行為研修はeラーニングで受けられる?
受けられます。
厚生労働省は、看護師が働きながら研修を受けられるしくみを用意しています。
| 研修の形 | 働きながら受けるためのしくみ |
|---|---|
| 講義・演習 | eラーニングなど、通信による学習ができる |
| 実習 | 受講者が勤める医療機関などが「協力施設」になれば、職場で受けられる |
出典:厚生労働省「特定行為に係る看護師の研修制度の概要」/Q&A
ただし、eラーニングを使うかどうかや、どの区分を受けられるかは、指定研修機関ごとに違います。
職場で実習を受けるには、勤務先が指定研修機関の協力施設になる必要があります。
✅ 指定研修機関を選ぶときのチェックリスト
- 受けたい区分(または領域別パッケージ)を扱っているか
- 講義・演習にeラーニングを使っているか
- 集合研修(通学)が何日あるか
- 実習を自分の勤務先で受けられるか
- 受講料と、教育訓練給付金の対象かどうか
- 研修期間と、募集の時期
💴 期間と費用の目安|おおむね5か月〜2年・30万〜250万円
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 研修期間 | おおむね5か月〜2年 |
| 受講料 | おおむね30万〜250万円 |
出典:厚生労働省リーフレット「これからの医療を支える看護師の特定行為研修」(令和3年5月改訂)
期間も費用も、指定研修機関と、受ける区分の数によって大きく変わります。
受講料の正確な金額は、各指定研修機関の募集要項で確認してください。
使える支援制度
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 地域医療介護総合確保基金 | 都道府県によっては、受講生や所属する施設に、受講料や代わりの職員を雇う費用を支援している |
| 教育訓練給付金 | 指定研修機関によっては、雇用保険の教育訓練給付金を使える場合がある |
出典:厚生労働省リーフレット
支援制度の詳細は、都道府県や、最寄りのハローワークに問い合わせます。
勤務先が受講料を負担してくれる場合もあるので、受講を考えたら、まず職場に相談してみましょう。
🏫 指定研修機関は505機関|約7割が病院・診療所
特定行為研修は、厚生労働大臣が指定した「指定研修機関」で受けます。

| 施設の種類 | 機関数 | 割合 |
|---|---|---|
| 病院・診療所 | 350機関 | 69.0% |
| 大学病院 | 64機関 | 12.6% |
| 大学 | 43機関 | 8.5% |
| 医療関係団体等 | 26機関 | 5.1% |
| 大学院 | 22機関 | 4.6% |
| 合計 | 505機関 | 100% |
出典:厚生労働省「指定研修機関等について」(令和8年3月現在)
都道府県ごとの指定研修機関は、厚生労働省の指定研修機関一覧(PDF)で確認できます。
一覧には、各機関が扱う特定行為区分も載っています。
🎓 修了するとどうなる?できること・できないこと
| よくある疑問 | 厚生労働省の回答 |
|---|---|
| 資格がとれる? | 資格ではない。指定研修機関から「特定行為研修修了証」が交付される |
| 更新は必要? | 更新制ではない |
| どこでも特定行為ができる? | 手順書で特定行為を行うかどうかは、それぞれの医療現場が判断する |
| 処方や死亡の診断はできる? | できない。診療の補助に当たらないため |
| 決まった呼び名はある? | 名称の規定はない |
出典:厚生労働省「特定行為に係る看護師の研修制度に関するQ&A」
研修を修了した看護師の配置は、診療報酬の加算の要件にもなっています。
たとえば、訪問看護基本療養費・訪問看護管理療養費・在宅患者訪問褥瘡管理指導料・特定集中治療室管理料などです。
そのため、病院だけでなく、訪問看護や介護施設でも、修了者が求められる場面があります。
認定看護師の新しい教育課程(B課程)では、特定行為研修を組み込んだ教育が行われています。
認定看護師については認定看護師の一覧の記事で解説しています。
📝 制度の見直しが議論されています
厚生労働省では、2025年から「看護師の特定行為研修制度見直しに係るワーキンググループ」が開かれています。
研修の時間数などが今後変わる可能性があるので、最新の情報は厚生労働省のページで確認してください。
🤝 修了後の働き方を考えるなら
特定行為研修の修了者は、病院の集中治療室や手術室、訪問看護、介護施設など、さまざまな場で活動しています。
研修で身につけた力を生かせる職場を探したいときは、看護師専門の転職サービスで、修了者を求める求人があるかを聞いてみる方法があります。
研修の受講を支援してくれる職場かどうかも、担当者に確認できます。
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✅ 求人を見るときの確認ポイント
- 特定行為研修の受講支援(受講料の負担・勤務の調整)があるか
- 修了者の手当や、役割が決まっているか
- 手順書の運用が始まっているか
- 訪問看護・介護施設など、在宅に近い職場か
准看護師との違いやなり方は、准看護師とはの記事で解説しています。
大学院でNP教育課程を修了する診療看護師については、診療看護師(NP)とはの記事で解説しています。
❓ 特定行為研修についてよくある質問
Q. 特定行為研修は誰でも受けられますか?
看護師が対象の研修です。
受講の条件(実務経験の年数など)は指定研修機関ごとに決まっているので、募集要項で確認します。
Q. 特定行為研修はeラーニングで受けられますか?
講義と演習は、eラーニングなど通信による学習ができます。
eラーニングの有無は指定研修機関ごとに違います。
Q. 特定行為研修の期間はどれくらいですか?
厚生労働省のリーフレットでは、おおむね5か月〜2年です。
Q. 特定行為研修の費用はいくらですか?
厚生労働省のリーフレットでは、おおむね30万〜250万円です。
都道府県の支援や教育訓練給付金を使える場合があります。
Q. 特定行為研修の修了者は何人いますか?
令和8年3月現在で14,266名です。
Q. 研修を修了すると資格がとれますか?
資格ではありません。
指定研修機関から特定行為研修修了証が交付されます。
更新制でもありません。
📝 まとめ|まず受けたい区分と指定研修機関を確認
この記事のまとめ
- 特定行為研修は、手順書で38の特定行為を行うための研修
- 共通科目250時間+区分別科目(1区分8〜34時間)
- 講義・演習はeラーニング可、実習は勤務先で受けられる場合も
- 期間はおおむね5か月〜2年、費用はおおむね30万〜250万円
- 修了者は14,266名、指定研修機関は505機関(令和8年3月)
特定行為研修は、働きながら受けられるようにしくみが整えられています。
まずは受けたい区分を決めて、厚生労働省の指定研修機関一覧で、通える範囲の機関を探すことから始めましょう。


